東源寺|我孫子市柴崎にある曹洞宗寺院

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東源寺|我孫子市柴崎にある曹洞宗寺院

東源寺の概要

我孫子市柴崎にある曹洞宗寺院の東源寺は、青龍山医王院と号します。東源寺は、北条氏康が開基となり天文9年(1540)に山号院号を定めて創建、法岩院五世梅室宗芳(文禄元年1592年寂)が開山したといいます。新四国相馬霊場八十八ヶ所75番です。

東源寺
東源寺の概要
山号 青龍山
院号 医王院
寺号 東源寺
住所 我孫子市柴崎170
宗派 曹洞宗
葬儀・墓地 -
備考 -



東源寺の縁起

東源寺は、北条氏康が開基となり天文9年(1540)に山号院号を定めて創建、法岩院五世梅室宗芳(文禄元年1592年寂)が開山したといいます。

「我孫子市史」による東源寺の縁起

東源寺 柴崎一七〇
山号院号 青竜山医王院
曹洞宗 もと法岩院末
寺伝に、天文九年(一五四〇)北条氏三代氏康の開基で、山号院号は氏康の定めたところであるという。開山は、法岩院五世梅室宗芳で、その没年は文禄元年(一五九二)である。
以来、当主を永平寺あるいは総持寺から迎えて歴世し、現在は三十一世となっている。
当寺に伝存する堂内具の前机(明治三十年施入)の板裏に「本堂、文化二丑年(一八〇五)須藤弥伝次発起ニテ大工小池源蔵ヲ以再建ス」との墨書があって、旧本堂の再建年代が知られる。また、当地川村正信家の文書には、文久三年(一八六三)に庫裡の普請の行われたことが記されている。
なお、境内に「元文三戊午年(一七三八)三月二十日、生国京都六条通大工作兵へ」と刻まれた墓塔がある。この作兵へは、文化二年の本堂再建以前における当寺の堂宇の造立あるいは修理にたずさわった者かもしれない。
安永四年(一七七五)の相馬霊場創設に当っては、願主観覚光音がこのあたりの風景を賞して弘法大師誕生の屛風浦善通寺写し第七十五番、本尊薬師如来とするとともに、第一番の取手長禅寺と対応する地点にあたるので中回向所としたという。
境内には県指定天然記念樹の榧の木があり、光音手植と伝える。
明治の「寺院明細帳」には、「本堂関数間口八間 奥行五間 弘法大師堂建物間口壱間三尺 奥行弐間」と記されている。
先にあげた当寺堂内具の前机には、文化二年の本堂再建の記録に続けて「仝(本堂)、明治廿四年須藤伝右衛門喜保発起トナリ、外三名ニテ、大工阪田佐太郎ヲ以大修繕ヲナス、念ノ入タル工事ハ天井ノ上ニアリ、此時新施餓鬼ヲ設置、慶応二年(三年カ)(一八六六)大師堂江鰐口、明治廿四年額弐□面カ及び懸物、明治廿九年□□花立壱対、明治三十年三月三十一日此前机、合五品、献納者、南相馬郡我孫子町柴崎、仝年四月一日ヨリ東葛飾郡ト郡名改ム、須藤伝右エ門喜保、仝所東源寺永代ノ備物トス、廿八世荒川玄龍代」と記されていて、堂宇の修繕や什物の献納等のことが知られる。
すなわち、現本堂は明治二十四年の大修繕を経てきた建物で、四注造、瓦葺、唐破風屋根の玄関付となっている。
本尊は、薬師如来で、開基氏康の守護を祈念した仏という。また、日光・月光及び十二神将像がある。
その他の仏像で、木造阿弥陀立像は像高三二.五cm、彫眼、漆箔で、来迎印を結ぶ。木造地蔵菩薩立像は像高三四cm、両手先は欠損しているが、台座の蓮弁が葺上式で、やや年代の古い作である。
なお、木造彩色の達磨大師像と大権修理菩薩像がり、大権像の台座に嘉永二酉年(一八四九)復元再興の墨書があるが、同像はさらに昭和五十年七月に修復された。
什物では、鏧子が嘉永三年(一八五〇)の作で、明治四十三年に修理されたものであり、太鼓は文久元年(一八六一)の調進である。また、仏涅槃図一幅が最近修復された。
旧大師堂は慶応元年(一八六五)に再建された。明治の「寺院明細帳」に記載されている「間口壱間三尺奥行弐間」の建物がそれで、向拝虹梁の扇形に「廿四世仙嶺岩玄龍の卵塔に「明治廿一年大師堂再興」とあるが、その修築の当時、順礼が奉籠した経石が堆積していたので、それを本堂の修築に当って須弥壇の下に埋納したという。
このような経過をへて、大師堂は、平成元年に改新築された。現大師堂は、石積の基壇上に建つ入母屋造、向拝付の建物で、屋根が本瓦葺であること、軒まわりに蛇腹状の支輪を用いていること、さらに、建物内部の床を石敷としていることなど、構造手法に注目される点が多い。
大師堂の大師像については「大師御像願主細井邑忠右エ門先祖代々、文化四丁丑(一八〇七)四月″(日)」と記す位牌がある。この忠右エ門は文化四年当時における各所の大師像の造立にかかわった人で。茨城県の細井村の出身である。
なお、大師堂の鰐口には「奉納、慶応三年(一八六七)丁卯九月吉日、佐野出張御鋳物師取手宿佐野屋喜三郎作、下総相馬郡柴崎村氏子安全」との刻銘があり、佐野天命の鋳物師が当時取手に進出していたことを知るとともに、氏子と記している点が注目される。(「我孫子市史」より)


東源寺の周辺図


参考資料

  • 我孫子市史