正一位岩走神社|あきる野市伊奈の神社

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正一位岩走神社|伊那郡から来た住民が開拓、勧請

正一位岩走神社の概要

正一位岩走神社は、あきる野市伊奈にある神社です。正一位岩走神社は、仁平2年(1152)に信濃国伊那郡から来住した12名が当地を開拓、戸隠神社の奥社の手力男命を勧請したといいます。当社前に流れる秋川は、大岩盤に滝状をなしていることから、岩上大明神・岩三大明神・岸三大明神とも称され、寛政6年(1794)の宗源宣旨により正一位岩走神社と称しています。

正一位岩走神社
正一位岩走神社の概要
社号 正一位岩走神社
祭神 稚日女尊
相殿 手力男命、棚機姫命
境内社 稲荷神社、八雲神社、熊野神社、金刀比羅神社、稲荷神社、疱瘡神社
住所 あきる野市伊奈1575
祭日 例祭9月13日
備考 -



正一位岩走神社の由緒

正一位岩走神社は、仁平2年(1152)に信濃国伊那郡から来住した12名が当地を開拓、戸隠神社の奥社の手力男命を勧請したといいます。当社前に流れる秋川は、大岩盤に滝状をなしていることから、岩上大明神・岩三大明神・岸三大明神とも称され、寛政6年(1794)の宗源宣旨により正一位岩走神社と称しています。

東京都神社名鑑による正一位岩走神社の由緒

平安朝の末期、信濃国伊那郡の住人十二人が当地に来り一村を開き、信濃国の総鎮守、戸隠神社の奥社の手力男命を勧請し、のち数年を経て稚日女尊、棚機姫命を祀ったもので、十二名中の一員であった宮澤左京藤原季周(長治二年<一一〇五>没)が祠官となり、七月七日を例祭日と定めた。社号は古くは岩上または岩三大明神(享保三年<一七一八>祠官辞令にある)、のちに岩走大明神と称したが、寛政六年(一七九四)九月十三日付をもって正一位の神階を勅許され、以後正一位岩走神社と称する。社殿は寛文十二年(一六七二)に再建され、さらに明治三十二年に再建された。(東京都神社名鑑より)

「五日市町史」による正一位岩走神社の由緒

正一位岩走神社
旧伊奈村鎮守、伊奈一五七五番地に鎮座している。祭神は天稚日女尊・手力男命・棚機姫命である。創立は不詳であるが、社伝によれば、仁平二年(一一五二)七月、信濃国伊那郡の住民一二名が当地に来て一村を開き、本国に鎮座する戸隠大明神の分身を勧請し、後数年を経て天稚日女尊と棚機姫命とを合祀したものである。保元三年(一一五八)七月
一二名の一員であった者の子孫、宮沢左近進藤原季周が初めて祠官となったという(旧記に、往古宮山に居住して宮山と号し、中古宮野に住居して宮野と号し、いま宮沢に住居して宮沢と号すとある)。
伊奈に生まれ伊奈に育った地域住民は、史実はとにかく、ある種の信仰的なものとして、すなおにこれを受け入れている。
社号は享保年間(一七一六―三五)には、「岸三大明神」と称していたことが、神主の裁許状に明らかである。岩走神社と改めたのはいつのころか不明であるが、寛政六年(一七九四)九月十三日付で、吉田司家の宗源宣旨により、「正一位」の神階を授与され、これを契機として「正一位岩走神社」と改めたことは記録により明らかである。その神位記・口宣案等は社宝として保存されている。全国神社名鑑によっても社号を「岩走」とする神社はほかには見当たらないが、神社脇を流れる沢が社前下で秋川に注ぐ所は、大岩盤に滝状をなしていて、事実岩走るという感の深いところである。これらが起因であろうか。
例祭日は、大正末期までは七月七日、ときに八月七日であったが、いまは九月十三日。しかし古式そのままの祭儀を行うには数多くの人員が必要なのでここ数年来、暫定的に九月十五日の敬老の日に行っている。
なお、古記録に、「例祭には大悲願寺を経導師として、通常八人の僧侶が大般若経を転読した。」とあり、おそらく幕末まで行われたと思われる。大般若経三百巻がいまもなお神庫に保管してある。
神体は『新編武蔵風土記稿』に記されてあるように馬頭観世音で三面六臂の金属製座像である。神社の神体が仏像であることは神仏混淆を如実に示すが、秘物で公開されたことはない。現在の社殿は明治二十二年の再建で、棟梁は伊奈上村の沢本晴太郎である。 地租改正前の社地およそ八〇〇坪、除地としての田畑屋敷の合計は三反二六歩であった。
境内末社は八雲・熊野・琴平・稲荷・疱瘡の五社である。旧社格は幣帛供進指定の村社である。(「五日市町史」より)

新編武蔵風土記稿による正一位岩走神社の由緒

(伊奈村)
岩走神社
除地、三段廿一歩、小名上宿の西にあり、小社にて拝殿二間に三間、前に木の鳥居を立つ兩柱の間一丈、祭神は天思兼神天手が雄神天棚機姫なり、往古は岸上岸三とも書たる由を云傳へり、神主宮澤豊前村の鎮守にて、例祭は七月七日、
末社。鳥居秋川の端にあり、小祠なり、この餘熊野権現稲荷・金毘羅等小社、本社の後にあり、(新編武蔵風土記稿より)


正一位岩走神社の周辺図


参考資料

  • 新編武蔵風土記稿
  • 「五日市町史」
  • 東京都神社名鑑