鈴法寺|青梅市新町にあった普化宗寺院

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廓嶺山鈴法寺|普化宗括総派の本山だった寺院

鈴法寺の概要

普化宗寺院の鈴法寺は、廓嶺山虚空院と号していた寺院で現在は廃寺となっています。鈴法寺は、埼玉県幸手市の藤袴に創立、天文元年(1532)に川越市郊外の葦草村に移されていたものを、第20世月山養風が、新町村を開村した吉野織部之助を頼って当地に慶長18年(1613)移転したといいます。鈴法寺は普化宗括総派の本山、かつ普化宗13派百二十数ヶ寺の觸頭として、普化宗勤詮派本山の一月寺と共に大いに栄えたものの、明治維新後に普化宗が廃宗となり、鈴法寺も廃寺となったといいます。

鈴法寺
鈴法寺の概要
山号 廓嶺山
院号 虚空院
寺号 鈴法寺
住所 青梅市新町1-22-18鈴法寺公園
宗派 普化宗
葬儀・墓地 -
備考 -



鈴法寺の縁起

鈴法寺は、埼玉県幸手市の藤袴に創立、天文元年(1532)に川越市郊外の葦草村に移されていたものを、第20世月山養風が、新町村を開村した吉野織部之助を頼って当地に慶長18年(1613)移転したといいます。鈴法寺は普化宗括総派の本山、かつ普化宗13派百二十数ヶ寺の觸頭として、普化宗勤詮派本山の一月寺と共に大いに栄えたものの、明治維新後に普化宗が廃宗となり、鈴法寺も廃寺となったといいます。

新編武蔵風土記稿による鈴法寺の縁起

(新町村)鈴法寺
境内除地五段六畝二十九歩、普化宗、諸流の觸頭なり、廓嶺山と號す、本堂三間半に三間、本尊彌陀を安す、長一尺餘の木像なり、客殿は三間半に四間、開山養風、是も慶長十九年吉野織部起立といふ。
薬師堂。九尺四方境内にあり。(新編武蔵風土記稿より)

「青梅市史」による鈴法寺の縁起

鈴法寺 (廓嶺山虚空院)
廃寺跡が新町にあり、本尊は阿弥陀如来であった。慶長十八年(一六一三)九月三日創建。中興開山は月山養風、開基は新町を開村した吉野織部之助である。慶長十八年八月、吉野織部之助は開村のため、井戸掘職人を捜して入間郡柏原(現・狭山市柏原)に行った折、天正十八年(一五九〇)忍城の戦いで別れた秋山惣右衛門の一子惣太郎(月山養風、父親戦死後、虚無僧括総派二十世を嗣法していた)とめぐりあい、彼から新田を開いたら寺地を寄進してほしいと頼まれたのが仏縁となった。もともと鈴法寺は現・埼玉県幸手市城内にあった藤袴村に創立され、天文元年(一五三二)に川越市郊外の葦草村に移されていたものを、月山養風によって、さらに新町に移されたものである。普化宗括総派の本山であり、天保年間には末寺十五か寺の本寺として、また千葉県小金の一月寺(勤詮派本山触頭)とともに普化宗十三派百二十余か寺の触頭として盛大であったという。『新編武蔵風土記稿』によれば、本堂三間の三間半、客殿十四坪、境内に九尺四方の薬師堂あり、と記されている。明治五年四月、官により廃宗廃寺とされ、明治二十八年には火災にかかった。現在では歴代住僧の墓石を残すのみであるが、寺跡は都史跡となり、公園として保存されている。(「青梅市史」より)


東京都教育委員会掲示による鈴法寺の縁起

鈴法寺は、普化宗総本寺の一つとして武蔵幸手の藤袴村に創建され、天文元年(一五三二)に川越の葦草村に移りました。普化宗は中国の唐代に成立した禅宗の一派で、宗徒が虚無僧の姿をしていることで有名です。慶長一八年(一六一三)、住持月山養風は、同じくかつて後北条氏の家臣で忍城にいた吉野織部之助が新町村を開拓していたことから、再度寺を新町村に移転しました。
徳川幕府によって普化宗は庇護され、鈴法寺は全国一二〇箇所余りあった普化宗寺院の根本道場の一つとして、明治四年(一八七一)の普化宗廃宗まで栄えました。しかし、明治二十八年に火災に遭い、堂宇は焼失、現在では寺域の北東隅に歴代住職の墓が残るにすぎません。(東京都教育委員会掲示より)

青梅市教育委員会掲示による鈴法寺の縁起

普化宗は中國の唐の時代臨済宗の一派とし、普化禅師を宗祖として開かれ我が國の建長六年由良興國寺の法燈円明師が帰朝に際し宝伏居士等が来朝して我が國に広められた。
鈴法寺は文永三年鎌倉時代括總了大居士を開山として武蔵國幸手に創建され、天文元年第十七世湛空巨円大和尚の時代同國川越在井草に移された。慶長十八年新町村開拓の際吉野織部之丞の助力により新町村に移転されたのが、鈴法寺第二十世月山養風大和尚の時代である。爾来二百五十年徳川幕府の庇護を受け全國百三十余ヶ寺の普化宗諸派の觸頭として絶大な権力を持ち虚無僧である天下浮浪の武士達の宣撫教化につとめて幕政に寄與し近世日本歴史の上に特異の存在として盛大を誇っていたが明治維新に際し新政府の廃佛毀釈の政策により、明治四年太政官布告を以て廃宗廃寺となったのが三十三世海我和尚の時代であった。(青梅市教育委員会掲示よより)

鈴法寺の周辺図


参考資料

  • 新編武蔵風土記稿
  • 「青梅市史」