金龍山寶泉寺|町田市小山町にある臨済宗建長寺派寺院

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金龍山寶泉寺|知平佐治右衛門就嗣開基、江戸幕府より寺領9石の御朱印状

寶泉寺の概要

臨済宗建長寺派寺院の寶泉寺は、金龍山と号します。寶泉寺は、知平佐治右衛門就嗣が土地を寄進して開基となり、鎌倉建長寺37世眞照大定禅師(貞治2年寂)が開山となり、延文4年(1359)に創建したといい、江戸時代には寺領9石の御朱印状を拝領したといいます。

寶泉寺
寶泉寺の概要
山号 金龍山
院号 -
寺号 寶泉寺
住所 町田市小山町3629
宗派 臨済宗建長寺派
葬儀・墓地 -
備考 -



寶泉寺の縁起

寶泉寺は、知平佐治右衛門就嗣が土地を寄進して開基となり、鎌倉建長寺37世眞照大定禅師(貞治2年寂)が開山となり、延文4年(1359)に創建したといい、江戸時代には寺領9石の御朱印状を拝領したといいます。

新編武蔵風土記稿による寶泉寺の縁起

(小山村)寶泉寺
小名三ツ目にあり、寺領九石の内なり、禅宗臨済派、同郡芝崎村普済寺末、開山は鎌倉建長寺第三十七世眞照大定禅師、貞治二年十二月八日寂す、本尊釋迦木の坐像、長一尺三寸許、本堂六間に七間半、南向。
鐘楼。本堂の前に、一間半四方、寛政年中鑄造の鐘あり。
観音堂。本堂に向て左にあり、三間四方、如意輪観音木の坐像、長五寸、運慶の作なりと云。
三社相殿。本堂に向て右の方にあり、稲荷・八幡・天神を祀れり、境内の鎮守也。(新編武蔵風土記稿より)

「町田市史」による寶泉寺の縁起

寶泉寺(小山町)
所在地 町田市小山町字三ツ目。
宗派 臨済宗。立川市普済寺末。
開山 真照大宗禅師(鎌倉建長寺三七世)。貞治二年(一三六三)一二月八日寂。
開基 知平佐治右衛門就嗣住地小山之郷を寄進し、延文四己亥年(一三五九)三月創建。
山寺号 金竜山宝泉寺。
本堂 寄棟亜鉛葺、正面一〇間、奥行六間半。木造南向。庫裡と兼用の式台つき間口二間の玄関あり。
庫裡 間口九間、木造平家。
鐘楼 入母屋亜鉛葺。総欅九尺四方の建築。欅柱二重棰。梵鐘なし。
山門 合掌造り。正九尺、奥行九尺、門扉付総欅。亜鉛葺。
本尊 釈迦。木座像で高一尺三寸。座裏に「広知禅師護持仏寄贈。延文四己亥年正月」の朱書がある。文部省文化
財保護委員で当時東京都多摩丘陵調査委員丸尾彰三郎氏は「宝泉寺釈迦如来像は鎌倉期様を次ぐ南北朝期様とでもいうか。…中略…その延文を考定してよいと思量される」と報告しておられる。
什物 十六羅漢像。島崎源内筆。源内は雅号を旦良。昭和三九年町田市文化財指定。また、明治一〇年内国勧業博覧会に本寺住職の出品茶に対し、当時の内務卿大久保利通下付の褒賞状を蔵す。
境内 墓地に、立川市普済寺開山可什物外和尚の墓碑があることは記されても良いだろう。
観音堂 本堂に向かって左に三間四方の如意輪観音があったと『風土記稿』にはあるが、いまはない。(「町田市史」より)


寶泉寺所蔵の文化財

  • 宝泉寺木造釈迦如来坐像(町田市指定有形文化財)
  • 宝泉寺十六羅漢図(町田市指定有形文化財)

宝泉寺木造釈迦如来坐像

宝泉寺の本尊像である。檜の一材から像の体幹部を彫出し、頭体を通して前後に割矧ぎ、内刳を施した後、割首として玉眼を嵌入し、両手首(左右共木)を矧ぎ、更に両脚部に横一材を矧ぎ、裳先を矧付ける。表面は肉身部を粉溜塗、衣部は漆箔とする。
頭部が体軀に比べて大きめで、地髪が張って目鼻立ちを小振りにあらあわして生彩があり、着衣は宗を大きく露わしてうねりのある大ぶりの衣文を刻むなど南北朝時代の彫刻様式を示している。この像の像内、両脚部の裏に延文四年(一三五九)の寄進銘が朱書されており、ほぼ造像年次が推定される。なお、寄進者「廣智禅師」は当寺の本山である建長寺(鎌倉市)の僧侶である。当市最古の銘文を有する彫像として貴重な存在である。(町田市教育委員会掲示より)

宝泉寺十六羅漢図

この十六幅は、町田市小山町に住んだ幕末の絵師、嶋崎旦良が描いた一組の十六羅漢図である。羅漢とは仏教の修行を完成した人をさす阿羅漢の略で、他者から尊敬を受けるに価する人という意味である。仏陀は涅槃のとき、十六人の羅漢とその眷属に永くこの世にとどまって仏法を守るよう命じたといい、この十六人を合わせて十六羅漢という。旦良はこの十六幅を寛政八年(一七九六)の二月から三月の間に仕上げ、菩提寺である宝泉寺に納めたのである。
旦良(一七六六〜一八一八)は、相模国愛甲郡中萩野村に生まれ、天明五年(一七八五)二十歳のとき現町田市小山町、当時の小山村の嶋崎家に婿入りし、八王子千人同心の職を継ぎ、寛政八年三月、まだ三十一歳の若さで没した。名を源内のちに金谷荘子源と称した。画は表絵師の駿河台狩野家四代目、洞春美信に学んでいる。町田市内に、正統な絵師に学んだ作家の作品が遺るのは貴重なことである。(町田市教育委員会掲示より)

寶泉寺の周辺図


参考資料

  • 新編武蔵風土記稿
  • 「町田市史」