熊野神社(小丹波)|西多摩郡奥多摩町小丹波の神社

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熊野神社(小丹波)|仁寿三年高山村大六天の峰の柏の大木にかかった光の霊告により創始

熊野神社(小丹波)の概要

熊野神社(小丹波)は、西多摩郡奥多摩町小丹波にある神社です。熊野神社(小丹波)は、仁寿三年(853)高山村大六天の峰の柏の大木にかかった光の霊告により、丹生神社の鎮座していた当地に熊野社を祀り創始したといいます。

熊野神社(小丹波)
熊野神社(小丹波)の概要
社号 熊野神社
祭神 伊邪那美乃命、速玉男乃命、事解男乃命
相殿 五十猛命
境内社 琴平神社、天照大神、八坂神社、雨降神社、豊受大神、丹生神社、日枝神社
住所 西多摩郡奥多摩町小丹波473
祭日 例大祭4月29日
備考 -



熊野神社(小丹波)の由緒

熊野神社(小丹波)は、仁寿三年(853)高山村大六天の峰の柏の大木にかかった光の霊告により、丹生神社の鎮座していた当地に熊野社を祀り創始したといいます。

新編武蔵風土記稿による熊野神社(小丹波)の由緒

(小丹波村)
熊野社
除地一畝二十二歩、村の北の方山の麓に在、神主を丹生顯司と云、京都吉田家の配下なり、本社六尺四方、神體は圓鏡なり、拝殿二間半に六間、前に鳥居をたつ、顯司が先祖を和泉と云、彼が書する所の縁起をみるに、昔し人皇五十九代文徳天皇の御宇、仁壽三癸酉年十二月某日、靈夢の告ありて栢樹の下にて神鏡を感得せしかば、即ち小社を造建して鎮座する所なりと云、其餘奇異の事とも煩しく記せし縁起にして、うけかひがたきこと多ければ、ただそのあらましをあげぬ。(新編武蔵風土記稿より)

「奥多摩町史」による熊野神社(小丹波)の由緒

小丹波熊野神社
小丹波の熊野神社は小字宮ノ下(集落後背の森)にあり、伊邪那美命、速玉之男命、事解男命の三柱を祭り、相殿として五十猛命が祭られています。御神体は円鏡ですが、一五センチメートル程の大刀を帯びた土偶神体が三体祭られているといいますから三柱の祭神に当るものでしょう。ただこの社に五十猛命が相殿として祭られているのは面白いと思います。命は須佐之男命の子で、日本書紀の一書によると須佐之男命とともに新羅の国からこの国に渡り、須佐之男命は出雲国へ鎮座され、五十猛命は日本中へ樹種を播いて青山とし、最後は紀伊固に鎮まられ、このため紀伊国はもと木の国といわれたというくらいで、本町とは関係のある植林の神さまなのです。
鎮座の起原としては青梅市御岳の熊野神社から分祀したとか、区内の大神(地名)から遷座されたという伝承もありますが神職丹生家の祖、和泉守が元和三年(一六一七)記録させたといわれる「熊野三社縁由記」には次のように記されています。(文意の要約)
当郷熊野三社の神霊勧請鎮座は文徳帝の仁寿三年十二月、高山村大六天の峰の柏の大木に夜な夜な光りものがかかり、その形は三光翼のようだつた。正月元日の夜赫々とした光明が四方の村里を照らし民人はその何ものであるかがわからなかった。光明は夜毎に増していったが八日の夜或る村人が霊夢によって神のお告げを聞いた。「われは熊野三社権現である、此の里にくだって国家万民を守護しようと思う。早速丹生明神の神主丹生和泉守に知らせて幣を奉じ、鎮座の祭祀をせよ。」と。これにより翌九日山上へ登って柏の木を見ると果して三面の鏡があった。喜び勇んでこのことを神主に告げ小社を造営したのがこの社の起こりである。
というものです。神社縁由は一つの神話でしょうから一般知識ではわかりきらないところがあります。この社の右傍に奥津宮といわれた丹生神社がありますが、前記縁白書によればこの社は熊野神社に先んじてここに鎮座されていたということになります。
社殿の傍に女体を連想させる自然石が塩竃神社として祭られ、安産の神さまとして信仰されています。この石はもと熊野神社の祭神、伊邪那長命の御神体ではなかったでしょうか。『小丹波村地誌草稿』にはこの石を「産立石」として「本社の西の方にあり高さ七寸ばかり、下の方にして内に楕円形の一頼の石あり、名儀は懐妊の婦人該石に祈誓するときは必ず平産するに因れりと云へり」とあります。
なお境内には日枝神社、琴平神社、山紙神社、八幡神社があり、東京都文化財指定の舞台(神楽殿)があり、近年社本殿社務所も建設され、広い境内が隈なく整備されています。(「奥多摩町史」より)

「東京都神社名鑑」による熊野神社(小丹波)の由緒

創建年代不詳。もと熊野大権現と称した。仁寿三年(八五三)十二月の勧請といわれる。安永七年(一七七八)一月一日社殿焼失。旧社殿は現社殿石段下にあったが、同八年里正原島貞兵衛らによって、現在地に移された。同九年より天明二年(一七八二)の間に銅瓦に改め、嘉永六年(一八五三)より安政二年(一八五五)の間に、里正原島貞一らがさらに銅瓦で重修。明治三年現社号に改めた。(「東京都神社名鑑」より)


熊野神社(小丹波)の周辺図


参考資料

  • 新編武蔵風土記稿
  • 奥多摩町史
  • 東京都神社名鑑