上溝田中不動堂。正徳2年に宝龍院として創建
上溝田中不動堂の概要
寺院の上溝田中不動堂は、相模原市中央区上溝にある堂庵です。上溝田中不動堂は、正徳2年(1712)に宗山(明和元年1764年寂)が宝龍院と号して創建したといいます。養仙法師が明治14年に没、後継者がなく、護摩堂を壊すことになり、一体のみを当地田中不動尊世話人会で祀り続けています。
山号 | - |
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院号 | - |
寺号 | 不動堂 |
本尊 | 不動明王像 |
住所 | 相模原市中央区上溝7-26 |
宗派 | - |
葬儀・墓地 | - |
備考 | - |
上溝田中不動堂の縁起
上溝田中不動堂は、正徳2年(1712)に宗山(明和元年1764年寂)が宝龍院と号して創建したといいます。養仙法師が明治14年に没、後継者がなく、護摩堂を壊すことになり、一体のみを当地田中不動尊世話人会で祀り続けています。
新編相模国風土記稿による上溝田中不動堂の縁起
(上溝村)
該当記載なし(新編相模国風土記稿)
平成さがみはら風土記稿による上溝田中不動堂の縁起
この不動堂は、上溝のバス停「田中住宅前」より北西へ100m、相模線に沿ったところにあります。
『風土記稿』には記載がありませんが、正徳2年(1712)に宗山〔明和元年(1764)没〕が、不動明王をまつる宝龍院として建てたと伝えられています。
その後、5世養仙〔明治11年(1878)投〕の代まで続きましたが、やがて廃寺となってしまいました。ちなみにこの養仙は狼をも恐れないほどの気丈な人であったと伝えられています。
不動明王像は二体あり、一体はこの地に安置されています。また、もう一体は安楽寺に納められています。昭和6年には小堂も建てられました。(平成さがみはら風土記稿より)
平成さがみはら風土記稿による上溝田中不動堂の縁起
田中不動尊由来
正徳二年(一七一二)ここ上溝村字田中に一人の山伏が表れ住むようになりました。宝龍院という庵を建立し、不動明王を祀ました。またこの人は権大僧都大越家宗山法師というお坊さんで、この宗山法師はある時近江の琵琶湖の道場で二十一日間の断食苦行を続け、二十一日目の満願の日に祭壇を設けて、海の幸・山の幸と、赤飯を供えて一心に経文を唱えておりますと、にわかに空が暗くなり、大雨となりそして龍神が現れて天に昇るのが目、赤飯を供えた飯台も見えなくなりました。苦行が終わると、飯台と一巻の巻物がありました。それには八大龍王と書いてありました。この八大龍王をお祀りする護摩堂も建てて、村人の幸せを祈願し大護摩を焚きました。信者も増して盛大でしたが、明和元年(一七六四)九月二十九日に亡くなりました。二代目知海院伊熱翁が九十一才で世を去り、三代目が傳燈亜闍梨仰天法院、四代目権大僧都亜闍梨智仙法師、五代目が権大僧都亜闍梨養仙法師となりましたが、この人には次のような言い伝えがあります。ある日小山村まえ祈祷を頼まれ、帰りが夜になってしまいました。小山から上溝までは道も狭く木が両端から覆い茂って狐や狸・狼等沢山いた時代です。山道を変えるとオオカミがこちらを見ているので、そばへ行って見ると何かの骨がのどにつかえて大変苦しんでいるようなので、気丈な法師はオオカミの口の中へ手を入れ骨を取ってやると喜んだ様子えした。そのまま田中まで帰って来ました。ふと後を見ると助けてやったオオカミがついて来てたのです。恩を忘れずに送ってくれたのでしょう。このように親切なお坊さんでしたが、この養仙法師も明治十四年十一月十六日にこの世を去りました。後継者が無く同所の佐藤庄左衛門の三男の金兵衛という人を養子に貰いましたが後は継げませんでした。
その後、護摩堂を壊すことになり。中にあった二体の不動尊像は田中地区の守護神でありましたので、一体を田中に納め、もう一体は番田の安楽寺に納めました。
護摩の道具やほかの種々な宝物は、原町田の倉庫に大切に保管されていましたが、大火のために焼失してしまいました。
境内に在る石碑郡は、昭和六年に相模線の全面開通に伴い線路基盤の盛り土で名物の一本松が埋まるので、根元に在ったものを線路土手の反対側のこの場所に移設されたものです。
昭和三十年九月十日、宝光寺第二十一世、性運住職の読経のもと、田中共和不動講中の主催で、不動明王石像の境内への奉安転座式が施行されました。
昭和四十五年一月八日に田中不動尊建設発起人会の努力により、不動明王のお社が建立され、お社を風雨から守る為に四本柱の上屋が建てられて、現在の姿になりました。
その後、講中の皆さんの高齢化に伴い、平成に年号が変わってからは暫く管理が疎かになっていましたが、平成十九年八月に田中不動尊世話人会が発足し、此々を管理管理しています。
今年から初不動を期して有志の方々により「のぼり旗」を奉納することになりました。田中の守護神であるこのお不動様を、自治会の皆様と共に末永くお守りしたいと思います。
平成二十二年一月二十八日 初不動にあたりこれを記す
田中不動尊世話人会(境内掲示より)
上溝田中不動堂の周辺図
参考資料
- 新編相模国風土記稿
- さがみはら風土記稿