蓮慶寺|調布市布田にある日蓮宗寺院

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惺誉山蓮慶寺|中将出羽守開基、日惺聖人開山

蓮慶寺の概要

日蓮宗寺院の蓮慶寺は、惺誉山と号します。蓮慶寺は、戦国時代に布田郷を領していた中将出羽守が、当地に古くからあった真言宗閻魔寺を、天文元年(1532)に日蓮宗に改めて開基したといいます。開山は池上本門寺第十二世佛乗院日惺聖人で、朗惺寺を開山、本妙院を再興していた名僧です。慶安3年(1649)寺領10石9斗の御朱印を拝領、金龍寺と同様朱塗りの山門(赤門)を許されていました。

蓮慶寺
蓮慶寺の概要
山号 惺誉山
院号 -
寺号 蓮慶寺
本尊 一塔両尊
住所 調布市布田2-34-3
宗派 日蓮宗
葬儀・墓地 セレモニアル調布
備考 -



蓮慶寺の縁起

蓮慶寺は、戦国時代に布田郷を領していた中将出羽守が、当地に古くからあった真言宗閻魔寺を、天文元年(1532)に日蓮宗に改めて開基したといいます。開山は池上本門寺第十二世佛乗院日惺聖人で、朗惺寺を開山、本妙院を再興していた名僧です。慶安3年(1649)寺領10石9斗の御朱印を拝領、金龍寺と同様朱塗りの山門(赤門)を許されていました。

「調布市百年史」による蓮慶寺の縁起

蓮慶寺(下布田)
旧甲州街道に面している。
惺誉山蓮慶寺と号し、日蓮宗。
<本尊>一塔両尊
<開基>天文元年(一五三二)中条出羽守
<開山>池上本門寺第十一世日惺上人。
この寺は、もと真言宗に属し、閻魔寺と称していた。
一五世紀末から一六世紀なかばにかけ、小田原北条氏に属していた出羽守が、布田郷に封ぜられて檀越となり、旧院を再建、前記日惺上人を開山として日蓮宗に改宗したものである。永禄(一五五八~一五七〇)年中、小田原北条氏から寺田が寄進され、慶安三年(一六五〇)には徳川家光から家康の永代回向料として寺領一〇石九斗が寄せられ、御朱印寺となった。ここには家康、家光両公の位牌が保存されている。
本堂は甲州街道よりの参道正面にあり、その前には、御朱印寺を表わす朱塗りの表門がある。
鐘楼は、表門の左手にあり、宝永四年(一七〇七)鋳造の鐘をかけている。
清正公堂は、もと田安家から牛込善国寺ヘ寄進されたものを、のち本寺に勧請した。
祖師五百遠忌記念の碑は、参道入口左にある。安永一〇年(一七八一〉)の建立、正面に髭題目書体で七字の名号が刻まれ、高さ約三・七メートル、正面幅約四六センチ、側面幅約三六センチの壮大なものである。
所蔵品の中に正徳元年(一七一一)五月の高札がある。放火、火事場の武器所持、火事場やその他での拾得物などについての定五条が記されている。(「調布市百年史」より)

新編武蔵風土記稿による蓮慶寺の縁起

蓮慶寺
街道にあり。惺誉山と号す。日蓮宗、池上本門寺の末。其の以前は真言宗にて閻魔寺と称せしに、天文元年中條出羽守檀越となりて改宗し、本門寺第十二世日惺を請待して開山となし、再興せしといふ。出羽守法謚を正天院日誉と号す。卒年月を詳にせず。本堂6間四方、本尊三宝、慶安3年先規に任せて寺領10石9斗の御朱印を与へらる。
三十番神社。門外の西にあり。2間半四方の社、東向なり。
鐘楼。9尺四方、本堂の東にあり。寛永4年鋳る所なり。(新編武蔵風土記稿より)

境内掲示による蓮慶寺の縁起

当山蓮慶寺は、日蓮宗大本山池上本門寺の直末で、山号を惺誉山と云う。開山は池上本門寺第十二世佛乗院日惺聖人(遷化慶長3年7月6日、1573年)その法号を正天院日誉と云う。
開山と開基の法号にちなみ惺誉山と称する。過去帳史料によると、もと真言宗閻魔寺を中将出羽守が永禄年中改宗し草創と伝える。今開山日惺聖人筆慶長3年の御曼荼羅本尊を寺宝としている。
江戸時代に入り、徳川三代家光将軍家より、慶安4年、御朱印地が下賜され、以降歴代将軍家の菩提を回向する御朱印寺として、赤門設立と、住職の乗駕が許されてきた。今歴代将軍葵紋付き位牌と香炉を現存し、法灯現住職第49代を経てきた。
草創以来三世紀の間、当山檀信徒の護寺丹精は、永く伝統を継承してきたが、歴史の風雪は本堂、山門を老朽化させた。ために今日の当山檀信徒は異体同心、結願して昭和42年本堂の大改修を完成させ、更に宗祖第七百年遠忌の報恩事業として、赤門復興の浄願を発起して全檀信徒による勧募浄財によって昭和54年4月15日祥当七百年を前にして完成をみた。
復興とはいえ伝統と檀信徒先祖の威霊を宿す四脚門の旧赤門を取り毀すにあたり、惜別の情迫るものがあり、ここに冠水門部分のみを保存し、後世への遺産とした。(境内掲示より)


蓮慶寺所蔵の文化財

  • 蓮慶寺本堂、附棟札五枚(調布市指定有形文化財)
  • 蓮慶寺日蓮聖人坐像一体(調布市指定有形文化財)
  • 享徳二年銘法華曼荼羅板碑(調布市指定有形文化財)
  • 年未詳法華曼荼羅板碑(調布市指定有形文化財)

蓮慶寺本堂、附棟札五枚

本寺は日蓮宗寺院で、本堂は北面して建ち、正面五間、側面六間。角柱、実肘木、書院造り風の建物で、背面に仏壇及び位牌壇が接続している。
平面の構成は近世以降、浄土真宗等の他宗の本堂に取り入れられた間取りと大略同形式である。建立年代については、寺蔵棟札が五枚あって、そのうち寛政五年(1793)のものが現在の本堂の再建棟札である。
当本堂は、建立年代が明らかで、後せの改造の内容もほぼ分かり、近世寺院本堂の形式の一半を知ることのできる資料として貴重である。(調布市教育委員会掲示より)

蓮慶寺日蓮聖人坐像一体

本像は、日蓮宗寺院共通にみられる祖師説法像である。材質・構造は木造・寄木造、玉眼、仕上は彩色、像高31cm。台座天板裏に天文19年(1550)の墨書銘があり、制作年がはっきりしている点で貴重である。
都内の日蓮聖人坐像としては、国指定重要文化財の池上本門寺像、都指定有形文化財の身延別院像とともに、中世にまでさかのぼる祖師像である。(調布市教育委員会掲示より)


蓮慶寺の周辺図


参考資料

  • 新編武蔵風土記稿