花畑浅間神社|足立区花畑の神社

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花畑浅間神社|古墳を利用した浅間塚、明治初年創建

花畑浅間神社の概要

花畑浅間神社の創建年月は不詳ですが、富士塚の築造は、石鳥居の年代や伝承から明治初年と考えられています。また、神社の北側を流れる毛長川流域には、多くの古墳や遺跡の存在が確認されており、この神社もその形態から古墳を利用したものと考えられています。

花畑浅間神社鳥居と
花畑浅間神社の概要
社号 花畑浅間神社
祭神 木花咲耶姫命
相殿 -
境内社 第六天社
住所 足立区花畑5-10
備考 -



花畑浅間神社の由緒

花畑浅間神社の創建年月は不詳ですが 花又村に2社あった浅間社が明治4年に合祀されたといいます。富士塚の築造は、石鳥居の年代や伝承から明治初年と考えられています。また、神社の北側を流れる毛長川流域には、多くの古墳や遺跡の存在が確認されており、この神社もその形態から古墳を利用したものと考えられています。

「ブックレット足立風土記花畑地区」による花畑浅間神社の由緒

浅間神社(花畑5丁目10)
江戸時代、花又村には浅間社が2社ありました(「新編武蔵風土記」)。この2社は、1871(明治4)年に合併され、1社となりました(「神社明細」)。このあたりは、現在、日本住宅都市整備公社の団地が整然と立ち並んでいます。1960〜70年代までは、見渡す限りの田んぼで、その中に小さな塚があり、その上に石造祠の浅間社があるところから、「野良浅間」と呼ばれていました。祭神は、木花咲耶姫命です。
1735(享保20)年に建立され、その後、度々補修されてきた鳥居には、旧花又村の會組、前通、堤根、仲組のヨズシ名が刻まれており、ヨズシを中心に信仰されてきたことがうかがえます(右頁「花又村のヨズシ」参照)。中西義衛さんによれば、戦前の頃、仲組では当社境内にあった池に作った竹の支えに、わらの大蛇をかけ、稲わらを燃やしておたきあげと称し、20人程の代表が「コノハンサクヤヒメ」の祝詞を唱えて雨乞いをしたといいます。
創建伝承
野良浅間の創建には次のような言い伝えがあります。もともと綾瀬川と毛長川の合流地点付近、いまの大鷲神社の裏手にあったといわれています。康平年間(1058〜1065年)末、村人が大鷲神社を祀る場所を、その野良浅間の真南直前に決めましたが、大鷲神社の信仰が高まるにつれ、野良浅間を詣でる人が次第に少なくなっていきました、そんなある夜、嵐と共に忽然と神社が消え、村人が驚いて探すと、南西の富士山の方向に点々としたたった血がつづいていました。そして、野良の中の小さな塚の上に浅間社のご神体が安置されていました。これを見た村人は、浅間神社の前に鷲明神を建てたので、木花咲耶姫が、浅間の本社である山に向って逃げようとし、その無念の血痕を残したのだと語り合い、この地にご神体を奉祀し、その霊を慰めました。それ以後は災難水禍がなくなったといいます(足立史談会編「足立区史跡散歩」学生社、1992年)。(「ブックレット足立風土記花畑地区」より)

「足立風土記資料神社明細」による花畑浅間神社の由緒

東京府管下武蔵国南足立郡花又村字村北 無格社 浅間神社
祭神 木花咲耶姫命
由緒 不詳
社殿間数 間口1尺奥行9寸5分
境内坪数、324坪、官有地第1種
境外所有地。畑8畝2歩、花又村字村北耕地、地価金15円48銭1厘。畑6畝2歩、同所、時価金11円41銭5厘。
東京府庁迄距離4里34町(足立風土記資料神社明細より)

花畑浅間神社所蔵の文化財

  • 花畑浅間神社富士塚(足立区登録有形民俗文化財)

花畑浅間神社富士塚

富士塚とは、富士山を信仰する人々の集団である富士講によって築造された塚である。
富士山の溶岩石を使用して小山を築き、頂上には浅間神社の祠を祀り、烏帽子岩、小御嶽社をはじめ、実物の富士山と同様に各名所を配すのが一般的であり、登山して参拝できるようになっている。
富士信仰は、文化・文政年間(1804-1829)に江戸を中心として爆発的に広まり多くの講中が結ばれ、講の発達に伴い富士塚の築造も盛んに行われるようになった。
この富士塚は、千住神社保木間氷川神社の富士塚と同じく伊藤参行を講祖とする丸参講による築造である。築造年代は明らかではないが、石鳥居の年代や伝承より明治初年と考えられている。また、花畑大鷲神社には、この講中により明治5年の記年のある富士登山絵馬が奉納されている。
花畑浅間神社は社殿を持たず、富士塚の頂上に祀る浅間社をそのまま社名とし「野浅間」といわれている。
神社の北側を流れる毛長川流域には、多くの古墳や遺跡の存在が確認されており、この神社もその形態から古墳を利用したものと考えられており興味深い。
昭和59年11月、足立区有形民俗文化財に登録されている。
平成7年3月 足立区教育委員会

花畑浅間神社の周辺図