神田山日輪寺|平将門公の首塚地に創建、佐倉藩主堀田氏の菩提寺
日輪寺の概要
時宗寺院の日輪寺は、神田山芝崎道場と号します。日輪寺は、了円法師により神田御門内柴崎村(千代田区大手町)に開基したと伝えられます。平将門公の首塚(将門塚)で、時宗ニ祖他阿真教上人が平将門公に「蓮阿弥陀仏」の法号を授与し供養、柴崎道場(時宗の念仏道場)として中興し、以後平将門公の法要を毎年2月14日に営んでいるといいます。江戸時代には、佐倉藩主堀田氏の菩提寺で、乗輿独礼席を許された他、時宗の総触頭を努めていた他、安称院、林香院、宝珠院、東福院の4院の塔頭を擁していました。
山号 | 神田山 |
---|---|
院号 | 芝崎道場 |
寺号 | 日輪寺 |
住所 | 台東区西浅草3-15-6 |
宗派 | 時宗 |
葬儀・墓地 | - |
備考 | 時宗の総触頭 |
日輪寺所蔵の文化財
- 一遍聖人行状図版木(台東区登載文化財)
一遍聖人行状図版木
この版木は、2面あり、各面ともサクラ材で制作され、板を8枚に矧ぎ、ほぞで留めてあります。大きさは、各面ともおよそ縦133cm、横62cm、厚さ1.6cmで、版木箱に保存されています。
各面に、絵と詞書から成る、時宗宗祖一遍聖人智真(1239-89)の生涯を描いた『一遍上人絵伝』第1段から第48段までが彫られ、また第1面に「高祖一遍聖人行状図」、第2面に「藤澤山清浄光寺蔵版」の文字が大きく彫られています。
一遍聖人の伝記絵としては、歓喜光寺蔵「一遍聖絵」(13世紀末成立)に代表される、一遍の高弟聖戒が編んだ聖戒本系統と、同じく一遍門弟宗俊が14世紀初めに編んだ「一遍上人絵詞伝」という宗俊本系統の2系統が存在します。本版木は、前者の聖戒本の場面を忠実に再現し、かつ小さい画面に収まるよう適宜省略を施し、漢文体で詞書を記しています。その画風及び版木の制作技術から江戸時代につくられた優品と認められ、保存もよく、聖戒本系統の一異本を伝える版木であり、高祖伝の版木としては極めて珍しく、また近世における時宗の広がりを考える上でも貴重です。
当寺は、神田山日輪寺と号し、元は神田柴崎村(現千代田区神田一帯)にあり、「柴崎道場」と呼ばれていました。江戸時代の初めに、銀町(現中央区新川)に移り、慶長8年(1603)現在地に移りました。江戸時代を通して時宗寺院の総触頭という重要な役割を果たし、江戸後期には学寮が置かれ、僧侶の勉学の場として発展しました。
日輪寺の周辺図