於岩稲荷田宮神社|中央区新川の神社

猫の足あとによる東京都寺社案内

於岩稲荷田宮神社|四谷怪談のお岩を祀るため、芝居小屋に近い当地に創建

於岩稲荷田宮神社の概要

於岩稲荷田宮神社は、中央区新川にある神社です。於岩稲荷田宮神社は、「東海道四谷怪談」(1825年初演)の主人公お岩を祀るため、芝居小屋に近い当地に、明治のはじめに創建したといいます。

於岩稲荷田宮神社
於岩稲荷田宮神社の概要
社号 於岩稲荷田宮神社
祭神 豊受比売大神、田宮於岩命
相殿 -
境内社 -
住所 中央区新川2-25-11
祭日 -
備考 -



於岩稲荷田宮神社の由緒

於岩稲荷田宮神社は、「東海道四谷怪談」(1825年初演)の主人公お岩を祀るため、芝居小屋に近い当地に、明治のはじめに創建したといいます。

中央区神社案内による於岩稲荷田宮神社の由緒

四代目鶴屋南北の「東海道四谷怪談」(1825年初演)の主人公お岩の伝承をもつ神社。御祭神は豊売比売大神、田宮於岩命。明治の初め、歌舞伎役者や崇敬者の願いを受けて芝居小屋に近く便の良い当地に創建され、江戸の寛永時代から田宮家於岩様(1636年没)を祀る四谷左門町の「四谷於岩稲荷田宮神社」とともに参詣されている。(中央区神社案内より)

「東京名所図会」による於岩稲荷田宮神社の由緒

田宮神社
田宮神社は、越前堀一丁目四番地に在り。祭神は宇迦御魂命かと訊ねしも、當主田宮フサの祖先とのみ、詳ならず、又合殿に四谷怪談お岩の靈とかいへるものを祀れり。如何なる事情ありてか、由来は秘して語らざる也。明治十三年、四谷區左門町四十九番地より當地へ遷座せりとかや。境内凡五百坪、周圍に石塀を築き、石造の門柱鐵扉を施せり。門内兩基の唐銅製の献燈を置き、素木の鳥居あり、社殿南に面し、田宮氏祖稲荷大神の扁額あり。別に額堂二棟、末社に白狐社、豊元社。大祭は三月二の午日にして、毎月二十二日、二十八日例祭を營む、俳優、藝妓の参詣多夥門前に講中の待合茶屋二軒あり。(「東京名所図会」より)

「中央区史」による於岩稲荷田宮神社の由緒

田宮稲荷神社(越前堀二ノ八)
明治十三年四谷区左門町四十九番地から区内越前堀の地へ遷座したものであるが、祭神は田宮氏祖先というだけで詳しいことはわからない。合殿に四谷怪談お岩の霊を祀る。「新撰東京名所図会」に
境内凡五百坪、周囲に石塀を築き石造の門柱・鉄扉を施せり。門外両基の唐銅製の献灯をおき素木の鳥居あり。社殿南に面し、田宮氏祖稲荷大神の扁額あり。別に額堂二棟、末社に白狐社・豊元社・大祭は三月二の午日にして、毎月二十二日、二十八日の例祭を営む。俳優・芸妓の参詣夥しく門前に講中の待合茶屋二軒あり。
とあって明治三十年代の状景を知ることができる。その後、震災に焼け戦災に遭って、今は見る影もないが、いずれ復興の途上にある。(「中央区史」より)

東京都神社名鑑による於岩稲荷田宮神社の由緒

今を去る三百五十年前(一六三〇)、当左門町は江戸幕府の御家人の組屋敷のあったところで、当地は田宮伊右衛門という直参の武家の住宅があった。この稲荷神社は田宮家の邸内社(やしきがみ)としてお祀りしていたものであったが、二代目のお岩さまはことのほかこのお稲荷さまを厚く信仰していたので、お岩さま亡きのち、犬伊右衛門は亡き妻の霊を慰めたいと思い、このお稲荷さまに妻の霊を合祀して厚く冥福を祈った。.その後このお岩稲荷神社は世の不幸な人びと、ことに不遇な婦人のために御守護をたれ給うことひとかたならず、江戸中に広く知れわたり、崇敬者は都市・農村を問わない有様であった。以上は当神社の創始の由来であるが、明治十二年八月神域が手ぜまになったので、現在の中央区新川二丁目二十五番十一号に移座し、四谷の神社は飛地境内神社とし、かつ東京都より史跡として指定された。(東京都神社名鑑より)


於岩稲荷田宮神社所蔵の文化財

  • 於岩稲荷田宮神社鳥居(中央区登録文化財)
  • 於岩稲荷田宮神社百度石(中央区登録文化財)

於岩稲荷田宮神社の鳥居・百度石

於岩稲荷田宮神社は、四代目鶴屋南北の戯曲で、文政8年(1825)に初演された「東海道四谷怪談」の主人公、お岩の伝承を持つ神社です。社地は歌舞伎俳優の初代市川左団次の所有地であったと伝えられ、花柳界や歌舞伎関係などの人々の参詣で賑わいました。
境内の本殿横にある石造の鳥居は明治30年(1897)1月に造立されました。花崗岩製のこの鳥居は、中央区に現存する中では二番目に古い鳥居です。鳥居の形式は「神明鳥居」に属し、柱下部には断面が花形の根巻と四角い台座が付いています。
鳥居の奥にある百度石は民間信仰である「お百度参り」のための石塔です。中央区内に現存する百度石のうちでは最古のものです。左側面には「大阪浪花座興行記念、四代目市川右団次」と刻しており、市川右団次がお岩の上演を記念して奉納したものです。戦前・戦後を経て、現在もこの百度石でお百度参りを祈願する人も少なくなく、庶民の信仰とともに生きています。
鳥居・百度石は中央区民有形文化財に登録されています。(中央区教育委員会掲示より)


於岩稲荷田宮神社の周辺図