津久根八幡神社。平安時代開創の古社
津久根八幡神社の概要
津久根八幡神社は、入間郡越生町津久根にある神社です。津久根八幡神社の創建年代等は不詳ながら、正歴二年(991)銘の棟札が残されているといい、また『津久根開創記(元文5年1740年)』では、吉山家が文治三年(1187)に開創したといい、何れにしても平安時代中期から末期にかけての開創ではないかといいます。明治40年には、地内の琴平神社・岩屋神社を本殿に、山神社を境内社として合祀し、更に大正末期、蚕影神社を境内に合祀しています。当社には正嘉二年(1258)銘金剛盤や天保四年(1833)再建の八幡神社本殿など多くの文化財を有しています。
社号 | 八幡神社 |
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祭神 | 誉田別命 |
相殿 | - |
境内社 | 大物主命・大己貴命・少彦名命 |
祭日 | - |
住所 | 入間郡越生町津久根23 |
備考 | - |
津久根八幡神社の由緒
津久根八幡神社の創建年代等は不詳ながら、正歴二年(991)銘の棟札が残されているといい、また『津久根開創記(元文5年1740年)』では、吉山家が文治三年(1187)に開創したといい、何れにしても平安時代中期から末期にかけての開創ではないかといいます。明治40年には、地内の琴平神社・岩屋神社を本殿に、山神社を境内社として合祀し、更に大正末期、蚕影神社を境内に合祀しています。
新編武蔵風土記稿による津久根八幡神社の由緒
(津久根村)
八幡社
土人此社を八幡森と呼ぶ、神體は徑六寸許の圓鏡の如き物にて、中に銅像を欵す、高蔵寺の持。
末社。稲荷社、天王社(新編武蔵風土記稿より)
「埼玉の神社」による津久根八幡神社の由緒
八幡神社<越生町津久根二三(津久根字若宮)>
当社は本山派修験山本坊修行場跡に近い越辺川上流若宮の地に鎮座し、主祭神は誉田別命で、合祀神は大物主命・大己貴命・少彦名命である。
現存する最古の棟札に「奉八幡宮建立国家安全之祈・正歴二辛卯年八月一五日」と平安中期の年紀があり、『明細帳』もこれを創建の年代と伝えている。一方、元文五年の『津久根開創記』には、棟札の年代よりもおよそ二〇〇年下った文治三年に当村草分け吉山家が正八幡宮を勧請した旨が記されている。
本殿内には無銘であるが鋳銅製の御正体と江戸後期作と思われる騎乗の八幡大明神像が安置され、さらに「正嘉二年戌午正月日」銘の密教法具、金剛盤を所有する。なお金剛盤は昭和三七年町文化財の指定を受けるとともに東京国立博物館に保管を委託している。
往時の別当は真言宗如意山高蔵寺で、開基は天正年中に吉山家によってなされている。
棟札は正暦のほか元和九年・正保四年・貞亨元年・元禄九年・正徳二年・寛延元年・天保五年が保存されている。現在の本殿は天保五年造営の二間社流造りである。
明治四〇年には、地内の琴平神社・岩屋神社を本殿に、山神社を境内社として合祀し、更に大正末期、蚕影神社を境内に合祀した。(「埼玉の神社」より)
津久根八幡神社所蔵の文化財
- 八幡神社本殿(越生町指定文化財)
- 八幡神社の獅子舞(越生町指定文化財)
- 正嘉二年(一二五八)銘金剛盤(越生町指定文化財)
八幡神社本殿
当地、大字津久根字若宮に鎮座する八幡神社は平安時代中期の創建と伝えられている。
当社の由緒を物語る歴史資料として、鎌倉時代の正嘉二年(一二五八)銘を持つ密教法具の金剛盤(町指定文化財)が伝存している。
棟札の写しによると、現在の本殿は天保四年(一八三三)の再建で、大工は新座郡舘村(現志木市)の高野武兵衛を棟梁に、当地生まれの江戸浅草新堀の吉山定右衛門と和田村(現越生町西和田)の石井熊蔵が務めた。
彫物を請け負った浅草茅町の嶋村源蔵は、川越氷川神社や西東京市の田無神社などで知られる、嶋村流七代目の源蔵俊表と思われる。浅草東本願寺前の石川藤吉(石川流二代目周信)も携わっている。「黄石公と張良」、「高砂」、「的慮に乗る劉備玄徳」などで飾られた社殿を、四隅の縁下で力神が支えている。(越生町教育委員会掲示より)
八幡神社の獅子舞
八幡神社の秋祭りに奉納される獅子舞は、もともとは成瀬の諏訪神社の祭礼で行われていたものを、江戸時代の享保年間(一七一六~三六)に、津久根の人形芝居と交換して始められたと伝えられている。
笛の音と、四人の女子が務める花子が掻き鳴らす竹製の簓の伴奏で、大獅子と中獅子の雄獅子二頭が雌獅子を奪い合うという筋立で舞われる。「ささら」は獅子舞の通称ともなっており、その音から、花子のことを「ちゃっちゃこ」とも呼んでいる。
笹葉の青竹に注連縄をかけて舞う初庭の「七五三掛り」、雄獅子同士が争う中庭の「四幕抱き(志満久多喜)」、和解した雄獅子が雌獅子とともに舞う終庭(後庭)の「花掛り」の三庭(幕)からなる。
開催期日 十月第三土曜日・日曜日(越生町教育委員会掲示より)
津久根八幡神社の周辺図
参考資料
- 「新編武蔵風土記稿」
- 「埼玉の神社」(埼玉県神社庁)