赤山日枝神社。川口市赤山の神社

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赤山日枝神社。関東郡代伊奈忠治が赤山陣屋の守護として創建

赤山日枝神社の概要

赤山日枝神社は、川口市赤山にある日枝神社です。赤山日枝神社は、関東郡代の三代伊奈忠治が寛永年間(1624-1644・元和4年1618年とも)に構えた赤山陣屋の守護として創建、当社の築山は、陣屋空堀掘削時の廃土で築いたと伝えられます。赤山村の鎮守として祀られ、赤山陣屋に祀られていた天神社・八幡社・御陣山稲荷社は当社境内に遷されています。赤山山王権現社本殿付覆屋・狛犬及び八幡宮石祠は川口市有形文化財に指定されています。

赤山日枝神社
赤山日枝神社の概要
社号 日枝神社
祭神 大山咋命
相殿 -
境内社 八幡宮、天満宮
祭日 夏祈禱5月15日、お日待10月14日
住所 川口市赤山218
備考 -



赤山日枝神社の由緒

赤山日枝神社は、関東郡代の三代伊奈忠治が寛永年間(1624-1644・元和4年1618年とも)に構えた赤山陣屋の守護として創建、社の築山は、陣屋空堀掘削時の廃土で築いたと伝えられます。赤山村の鎮守として祀られ、赤山陣屋に祀られていた天神社・八幡社・御陣山稲荷社は当社境内に遷されています。

新編武蔵風土記稿による赤山日枝神社の由緒

(赤山村附持添新田)
山王社
村の鎮守なり、塚の如く築たてし所に社を建、ここは御林の内にて木立生茂り、二百年来草創せし地と見ゆ、神體昔は七體ありしが、伊奈氏断絶の時失たりと云、其頃は大橋多門或は川鍋左門など云し神主ありしが、今は領家村神明院の持となれり。
末社
天神社。
八幡社。本社の左にあり、これも塚の如く高く築上げし所にして、社の背後に高さ三尺四五寸許の石槨あり、其故は知らず左の銘あり、(銘中略)
當所八幡宮者、予祖父忠常、寛文十三癸丑年秋七月、所剏建立也矣、予固有有於慈母願望故、寶永四丁亥戴秋九月、清其宮境樹于松杉、以爲經界、再經營於舊制焉、尚于以神助、尚子孫繁榮矣、
領主 伊奈源忠順誌之
寶永四丁亥年十一月吉辰(新編武蔵風土記稿より)

埼玉県神社庁「埼玉の神社」による赤山日枝神社の由緒

日枝神(川口市赤山二一八<赤山字山王町郭>)
寛永年間(一六二四-四四)に関東郡代の三代伊奈忠治が構えた赤山陣屋は、寛政四年(一七九二)、十二代伊奈忠尊が失脚するまで、関八州の貢租の徴収並びに司法、利根川・荒川の改修、新田開発など土木治水を行う中心的な役所であった。この陣屋は延べ面積二十三万四千坪にも及ぶ広大なもので、この中に当社をはじめ天神社・八幡社・御陣山稲荷社などが祀られていた。当社は、陣屋の東側空堀外の山王町廓の地内にある山王池に面した築山に鎮座する。この築山は、陣屋空堀掘削時の廃土で築いたと伝える。
創建は伊奈氏によるものと考えられ、恐らく江戸城鎮護の日枝神社から分社し、陣屋の守護として祀られたものであろう。『風土記稿』には陣屋廃止後の当社について、「二百年来草創せし地と見ゆ、神体昔は七体ありしが、伊奈氏断絶の時失たりと云、其頃は大橋多門或は川鍋左門など云し神主ありしが、今は領家村神明院の持となれり」とある。ちなみに、神明院は宝林院配下の本山派修験である。
なお、陣屋内にあった八幡社や天神社は現在合祀されて当社境内にある。殊に八幡社は、七代伊奈忠順が建立した宝永四年(一七〇七)十一月の石祠銘文によると、五代伊奈忠常が寛文十三年(一六七三)七月に子孫繁栄のため創建した旨が記されている。(埼玉県神社庁「埼玉の神社」より)


赤山日枝神社の由緒

  • 八幡宮石祠
  • 赤山山王権現社本殿 付覆屋・狛犬

八幡宮石祠

伊奈半十郎忠順が宝永四年(1707)十一月忠常の子(第二子)として、父母の報恩と伊奈家の繁栄を願って宮城を整備し、山王社の傍らに建碑した安山岩小松石製の石祠です。祠とは、ほこら・やしろ・みたまやなどの意味であることから、この石製の祠は八幡神のみたまやということになります。
裏面に刻まれた銘文は、次のように読み下すことができます。「当初の八幡宮は、予(忠順のこと)の祖父忠常(伊奈家五代)が、寛文十三年(1673)七月剏めて建立せし所なり、予はもとより慈母の願望有る故に、宝永四丁亥戴秋九月其の宮境を清めここに松杉を樹し、以て経界と為し再び其の旧制に経営す。尚乎ば神助を以て子孫の繁栄せんことを。領主伊奈源忠順之を誌す。宝永四丁亥年十一月吉辰」(川口市教育委員会掲示より)

赤山山王権現社本殿 付覆屋・狛犬

本殿は、赤漆塗りの一間社流造で、屋根は杮葺です。身舎の規模は、桁行1.667m(五尺五寸)、梁間1.545m(五尺一寸)、向拝の出は1.424m(四尺七寸)を測ります。斗栱、虹梁、木鼻などに禅宗様式の特色が窺える一方、蟇股の曲線や彫刻、虹梁の渦文様、木鼻の巧みな装飾や技法は、江戸時代初期の技法を今に伝えており貴重です。
また、内部からは元禄六年(1693)墨書銘のある木製黒漆塗り金箔押しの狛犬一対が発見されました。本殿の創建時期を知る上で貴重な資料であることから、覆屋と共に付指定されています。(川口市教育委員会掲示より)

赤山日枝神社の周辺図