泉蔵寺。東松山市上押垂にある天台宗寺院

猫の足あとによる埼玉県寺社案内

薬王山泉蔵寺。東松山市上押垂にある天台宗寺院

泉蔵寺の概要

天台宗寺院の泉蔵寺は、薬王山正泉院と号します。泉蔵寺の創建年代等は不詳ながら、江戸期には、上押垂地内に十王堂・観音堂を構えていた他、山王社の別当を勤めていた寺院です。当寺所蔵の絵馬は、狩野朴斎の筆による縦111.5cm、横175cmの大絵馬で山下三郎ヱ門が元禄3年(1690)に奉納したもので、十一面観音立像とともに東松山市文化財に指定されています。比企西国三十三所観音霊場19番、中武蔵七十二薬師53番です。

泉蔵寺
泉蔵寺の概要
山号 薬王山
院号 正泉院
寺号 泉蔵寺
本尊 薬師如来像
住所 東松山市上押垂116-1
宗派 天台宗
葬儀・墓地 -
備考 -



泉蔵寺の縁起

泉蔵寺の創建年代等は不詳ながら、江戸期には、上押垂地内に十王堂・観音堂を構えていた他、山王社の別当を勤めていた寺院です。

新編武蔵風土記稿による泉蔵寺の縁起

(上押垂村)
泉蔵寺
天台宗、下青鳥村浄光寺門徒なり、薬王山正泉院と號す、本尊薬師を安ず、
---
十王堂
泉蔵寺持、
---
觀音堂
同上、(新編武蔵風土記稿より)


泉蔵寺所蔵の文化財

  • 泉蔵寺十一面観音立像
  • 泉蔵寺の絵馬(馬の図)

泉蔵寺十一面観音立像・泉蔵寺の絵馬(馬の図)

観音像は像高一一〇cmの立像で、頭上には、本面を含めて十一面になる菩薩面十面と頂上仏、化仏を載せ、右手は与願の印(願いをかなえる意味をもつ)を結び、左手は蓮華を差した水瓶を持っています。舟形光背を背負い蓮華座に立つものです。
本像の材質は檜材で、体幹部および頭部は、四材を前後に合わせた寄木造です。像の内部は空洞(内刳り)で、頭部は差し首、目は彫眼となっています。
胎内から発見された銘文から、庚申待供養のため権少僧都重慶が中心となり天正三年(一五七五)に、玉運浄玄法眼という仏師によって造られたものであることが明らかになりました。また、胎内からは、一四世紀頃の菩薩像頭部の一部が見つかり、規模や構造、表現の特徴から今の観音像の前身像の一部と考えられています。
絵馬は黒駒が横に繋がれている様子を描いた図で、屋根型をした縦一一一・五cm、横一七五cmの大型の絵馬です。墨書から山下三郎ヱ門なる人物が元禄三年(一六九〇)に奉納したことが判りました。絵は狩野朴斎によって描かれたものです。今のところ市内では最古の絵馬で、願主、製作者、製作年がわかる貴重なものです。(東松山市教育委員会掲示より)

泉蔵寺の周辺図


参考資料

  • 「新編武蔵風土記稿」