高龍山報恩寺|坂東報恩寺、親鸞聖人法脈二十四輩の性信上人が創建
報恩寺の概要
真宗大谷派寺院の報恩寺は、高龍山謝徳院と号します。 報恩寺は、親鸞聖人法脈第一の直弟で二十四輩の一人でもある性信上人が建保2年(1214)下総国横曽根に創建、慶長7年(1602)江戸に移転、坂東報恩寺と称されていたといいます。その後市中を三転し、文化3年(1806)当地へ移転しました。
山号 | 高龍山 |
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院号 | 謝徳院 |
寺号 | 報恩寺 |
住所 | 台東区東上野6-13-13 |
宗派 | 真宗大谷派 |
葬儀・墓地 | - |
備考 | - |
報恩寺の縁起
報恩寺は、親鸞聖人法脈第一の直弟で二十四輩の一人でもある開基性信上人が建保2年(1214)下総国横曽根に創建、慶長7年(1602)江戸に移転、坂東報恩寺と称されていたといいます。その後市中を三転し、文化3年(1806)当地へ移転しました。
「淺草區史」による報恩寺の縁起
報恩寺
北清島町にあり。江戸砂子に、
高瀧山報恩寺 元は飯沼報恩寺宿寺
寺領三十石一斗 田原町
開山聖心坊(大中臣の人、元祖の弟子也、江戸名所圖會に開山照心坊建治元年七月寂す化壽八十九とあり)下總飯沼に一宇の坊舎建立ありしに、飯沼の天神御姿をあらはし、紫の戸帳を袈裟の料として聖心坊へ賜り、又池の鯉をおくらせ給ふと也。
其の例によりて正月十一日鯉二喉飯沼より今以毎年来る。その返禮として鏡餅當寺よりささぐ。此餅神前に備へ、正月二十五日初連歌にいはふと也。
一.親鸞上人六十三歳の影像
一.同廻國笈
一.同直筆の教行記六冊
一.同所持の團扇
一.蛇返しの太刀(いはれあり畧)
一.茶臼(蓋は木也)
一.聖心坊過去生の骨(下畧)
塔頭
と見ゆ。又江戸名所圖會には、
本寺謝徳院と號し、東本願寺に隣る、一向派にして宗祖上人の遺跡二十四輩所の随一なり。當寺は下總國豊田の庄横曾根に有事數十世、後結城の城主七郎左衛門晴朝の臣多賀谷某といへる者の爲に寺領を押領せられ、終に武州に移る。
とて、開山傳を抄録して詳記しあり。即ち本寺は親鸞第一の法弟性信の開基にして、下總國横曾根郷に創立し、慶長七年外櫻田に移り、明暦災後今の地に轉ぜしもの。舊支院の現存するもの十一、廢絶せしもの四。舊時の壮宏なりしを見るべし。(「淺草區史」より)
御府内寺社備考による報恩寺の縁起
東本願寺末 下谷不唱小名
高龍山謝徳院報恩寺 境内拝領地3160坪
御朱印寺領30石1斗。坂東報恩寺起立ハ開山親鸞聖人法脈第一之直弟開基性信上人建保2年春総州於横曽根一宇建立、報恩寺ト号。今掛所下総国岡田郡報恩寺村報恩寺是也。享保3年7月11日 有徳院様御代横曽根を改報恩寺村ト名く境内拝領地2610坪。慶長年中冬堂塔為災焼失。其れ節将軍家代々之御判物焼失。(御府内寺社備考より)
報恩寺所蔵の文化財
- 銅鐘(台東区有形文化財)
- 紙本着色善信聖人親鸞伝絵(台東区有形文化財)
銅鐘
坂東報恩寺の通称で知られる当寺は、建保2年(1214)親鸞の高弟性信によって開かれた浄土真宗大谷派の寺院で、初め下総国横曽根(現茨城県水海道市)にあったが、敬重念(1602)江戸に移転、その後市中を三転し、文化7年(1810)現在地に至る。
本鐘が鋳造されたのは、慶安元年(1648)で、当時報恩寺は八丁堀にあった。銘文によると、報恩寺14世住持宣了および檀信徒の講中の発願で作られた。銘文の末尾に記されている鋳造者の「堀山城守藤原清光」は江戸幕府の命で京都から江戸に下った御用釜師堀浄栄の息子浄甫を指す。父子とも当代一流の鋳造師で、浄甫の作品にはこの銅鐘のほか、渋谷区祥雲寺の銅鐘・日光東照宮の銅灯籠・上野東照宮の銅灯籠などが現存している。
本鐘は、昭和18年、重要美術品の認定を受け、平成8年、台東区有形文化財として、区民文化財台帳に登載され、当寺境内鐘楼に安置される。(台東区教育委員会)
紙本着色善信聖人親鸞伝絵
報恩寺は、浄土真宗の開祖親鸞の高弟性信が、建保2年(1214)下総国横曽根(現、茨城県水海道市)に創建しました。のち江戸に移転し、文化3年(1806)現在地に移りました。
報恩寺所蔵の「紙本着色善信聖人親鸞伝絵」は全4巻の絵巻物で、各々縦29cmほど、横9m前後。宗祖親鸞の生涯を詞書と絵で表現したもので、作者は不明ながら室町時代中期から末期の制作です。第3巻冒頭には「横曽根報恩寺」の墨印が見え、報恩寺の依頼による制作だったことが推定されます。
内容は、親鸞の生涯の中でもとくに転機となった出来事を描き、これを見ることによって親鸞の生涯はもちろん、浄土真宗の教義までをも理解できるように構成されています。
同様の親鸞伝絵は多くの浄土真宗寺院に現存しますが、制作年代が室町時代までさかのぼるものは全国的にも数少なく、本伝絵は貴重な美術資料のひとつです。(台東区教育委員会)
報恩寺の周辺図
参考資料
- 「淺草區史」
- 御府内寺社備考