長念寺。飯能市白子にある曹洞宗寺院

猫の足あとによる埼玉県寺社案内

長念寺。武蔵野三十三観音霊場

長念寺の概要

曹洞宗寺院の長念寺は、清流山と号します。長念寺の創建年代等は不詳ながら、正安元年(1299)銘の板碑等から鎌倉時代末期に創建したと推定され、南北朝時代・室町時代に隆盛、聖観音菩薩立像や聖観音菩薩坐像などの他、移築された高倉寺観音堂(国指定重要文化財)など数多くの文化財が残されているそうです。その後、八王子滝山城主の大石定久が再興、北条氏照による寺領安堵を経て、徳川家康の関東入国に際しては天正19年(1591)に寺領10石の御朱印状を受領しています。慶長3年(1598)能仁寺四世格外玄逸和尚が中興開山し、臨済宗寺院から曹洞宗寺院へ改めています。武蔵野三十三観音霊場29番、高麗三十三ヶ所霊場27番です。

長念寺
長念寺の概要
山号 清流山
院号 -
寺号 長念寺
本尊 聖観音菩薩立像
住所 飯能市大字白子260
宗派 曹洞宗
葬儀・墓地 -
備考 -



長念寺の縁起

長念寺の創建年代等は不詳ながら、正安元年(1299)銘の板碑等から鎌倉時代末期に創建したと推定され、南北朝時代・室町時代に隆盛、聖観音菩薩立像や聖観音菩薩坐像などの他、移築された高倉寺観音堂(国指定重要文化財)など数多くの文化財が残されているそうです。その後、八王子滝山城主の大石定久が再興、北条氏照による寺領安堵を経て、徳川家康の関東入国に際しては天正19年(1591)に寺領10石の御朱印状を受領しています。慶長3年(1598)能仁寺四世格外玄逸和尚が中興開山し、臨済宗寺院から曹洞宗寺院へ改めています。

境内掲示による長念寺の縁起

長念寺寺暦
長念寺の創建年については、境内から出土した正安元年(一二九九)を最古とする七基の鎌倉時代の板碑から、鎌倉時代末まで遡ることが明らかにされています。
長念寺が最も隆盛するのは、慶派の正統な流れをくむ本尊の聖観音菩薩立像(市指定文化財)や禅宗様式の観音堂本尊の聖観音菩薩坐像(県指定文化財)、さらに長念寺から移築された入間市の高倉寺観音堂(国指定重要文化財)をはじめ、九〇基を超える板碑、一八基を数える宝篋印塔などの貴重な文化財が数多くのこされている南北朝から室町時代(一四世紀後半から一五世紀)のことになります。特に、観応三年(一三五二)の武蔵野合戦の後に高麗郡は鎌倉府の直轄地になり、鎌倉公方である足利基氏は九年間にわたり、入間川御陣に在陣していたことと深い関係があると考えられています。その頃、長念寺は足利政権における地域支配の拠点的寺院として重要視されていました。
その後、長念寺に関する記録は一時途絶えますが、八王子滝山城主の大石定久により長念寺が再興され、天文三年(一五三四)には、定久による長念寺の年貢納入を命じた文書(大石定久判物・市指定文化財)が残されています。
また、永禄九年(一五六六)には、北条氏照による寺領安堵の文書(北条氏照印判状・市指定文化財)が残され、長念寺の支配が大石氏から北条氏に代わったことが確認されます。しかし、天正一八年(一五九〇)、北条氏は豊臣秀吉に滅ぼされ、同年に新たな支配者として徳川家康が江戸に入府します。その翌年の十一月、長念寺は家康により一〇石の寺領が安堵されました(徳川家康朱印状・市指定文化財)。この時、飯能周辺で家康により最初に交付された朱印状は、高麗・聖天院(一五石)、野田・円照寺(一五石)、岩渕・妙円寺(一三石)などがあり、長念寺には四番目の寺格が与えられました。その後、代々の徳川将軍家により寺領の石高は維持され、現在に至るまでの近世の長念寺が形成されました。
現在の長念寺は、慶長三年(一五九八)能仁寺四世の格外玄逸和尚により再中興され、その時に曹洞宗に宗旨替えになりました。
長念寺は武蔵野三十三観音霊場の二十九番札所になります。(境内掲示より)

新編武蔵風土記稿による長念寺の縁起

(高麗郡白子村)長念寺
清流山と號す、曹洞宗、中山村能仁寺末なり、蔵する所の古文書によりて考れば、古き寺なること知らる、天正十九年寺領十石の御朱印を賜ふ、本尊觀音首木の立像長三尺五寸運慶の作なり、開山能仁寺四聖格外玄逸、慶長八年三月廿八日寂す、こゝに開山と云るは中興なるべし、寺領のことにつきて大石源左衛門定久、及び北條氏邦のあたへし文書二通を蔵す、その文左のごとし、
(文面省略)

本堂
衆寮
觀音堂。木の坐像にて長一尺五寸、脇立毘沙門・韋駄天各木の立像二尺一寸、すべて運慶の作なりと云、圓通の扁額をかく、(新編武蔵風土記稿より)

飯能市史資料編による長念寺の縁起

慶長3年(1598)に能仁寺四世格外玄逸により再中興されたが、この寺に残されている仏像古文書や板碑によりすでに13世紀末頃には存在していたろう。天文3年(1534)に大石定久により再興され、再中興以前は臨済宗であったようである。(飯能市史資料編より)


長念寺所蔵の文化財

  • 観音堂聖観音菩薩坐像(埼玉県指定文化財)
  • 本堂聖観音菩薩立像(飯能市指定文化財)
  • 大石定久判物(飯能市指定文化財)
  • 北条氏照印判状(飯能市指定文化財)
  • 徳川家康朱印状(飯能市指定文化財)

長念寺の周辺図


参考資料

  • 新編武蔵風土記稿
  • 「飯能市史資料編Ⅳ社寺教会」