上野王子駒込辺三十三ヶ所観音霊場の案内
上野王子駒込辺三十三ヶ所観音霊場の案内
上野王子駒込辺三十三ヶ所観音霊場は、天保9年刊行の東都歳時記に「上野より王子駒込辺西国の写三十三所観音参、ここにしるせるは下谷の順路なり。~行程凡三里六町余あり。安永中の撰なり」と記載されている三十三ヶ所観音霊場参りで、安永年間(1772-1780)に成立、江戸期に建立された標石も数多く残され、人気を博した札所だったといいます。
「江戸・東京札所事典」による上野王子駒込辺三十三ヶ所観音霊場
東都歳事記に次の如くでる。
「上野より王子駒込辺西国の写、三十三所観音詣、ここに記せるは下谷の順路なり、上より下へ順に読み下すべし。以上行程凡そ三里六町余り、安永中の撰なり」。
歳事記では安永中のものとしているが、実際には明和八年の「江戸西国」の案内記があるので、この年の開設が妥当であろう。尤も明和八年当時の札番は其の後に一部移転をみているので固定された安永年次を札所開創の年とみることも出来る。
この札所の特徴は、遊山ながらも詣で給へとする遊び心横湿溢の机所案内である。明和八年刊の江戸西国序文を次に載せる。(中略)
内容は序文にある如く札所を如何なる理由により西国の札所に見立てたかを述べると共に途中の名勝旧蹟や寺社の縁起来由等を記したものである。
歳事記では安永中の撰としているが、明和八年の制定とみる方が妥当であるが、標石が建つのは安永三年であり、札所は四カ寺が異動をみているのでその意味では歳事記のいう如く安永中に確定をみたものであろう。今移動を次に記す。
十番 日暮里浄光寺より田畑仲台寺へ
二三番 谷中恵元院より西ケ原不動院へ
二四番 西ケ原不動院より駒込大保福寺へ
二八番 日暮里青雲寺より駒込円通寺へ
この札所の現状の特徴としては札所を示す標石がよく残っていることで、これは他の札所には見られないものである。谷中の観音寺より城官寺までの十三カ寺全部に健在である。現存は十九本、年号は安永三年を最初として安永が八本、年号はないが江戸期と認められる九本であるが安永以外の年号は明治が二本であることよりして無年号のものも安永期建立とみたいものである。
半分の寺に江戸期の標石が建っていることは、この札所が当時の人々に人気を博したことを物語っている。標石の建立者は殆どが町人であり、その住む町名をみると、湯島上野方面と日本橋方面に多く日本橋湯島本郷と日光街道を中心とするようである。王子駒込はこの方面の人達にとっては郊外であり一日の行楽地としては手頃な距離であり、春は飛鳥山の桜、夏は滝ノ川の滝遊び、秋は紅葉に雪は日暮里と四季折々の行楽であった。加えての六阿弥陀コースと王子稲荷も人気であった。(「江戸・東京札所事典」より)
上野王子駒込辺三十三ヶ所観音霊場
- 金輪寺(北区岸町1-12)
- 大運寺(文京区本駒込2-18-12)
- 無量寺(北区西ヶ原1-34)
- 正受院(北区滝野川2-49)
- 昌林寺(北区西ヶ原3-12)
- 城官寺(北区上中里1-42)
- 西光寺(台東区谷中6-2-20)
- 光源寺(文京区向丘2-38-22)
- 天王寺円暁院(台東区谷中7-14-8)
- 仲台寺(西ヶ原より移転練馬区旭町1-20-1)
- 普門寺(廃寺)(東覚寺石碑に東覚寺の西西行庵と記載)
- 寿徳寺(北区滝野川4-22)
- 上野穴稲荷内忍岡稲荷(現本覚院内台東区上野公園16-22)
- 護国院(台東区上野公園10-18)
- 清林寺(文京区向丘2-35-3)
- 清水観音堂(台東区上野公園1-29)
- 駒込浄心寺(駒込正念寺廃寺により移転;文京区向丘2-17-4)
- 常楽院(下谷より移転調布市西つつじ丘4-9)
- 定泉寺(文京区本駒込1-7-12)
- 光明院(北区田端3-21-5)
- 与楽寺(北区田端1-25-1)
- 長安寺(台東区谷中5-2-23)
- 不動院(北区西ヶ原3-23)
- 千駄木大保福寺(廃寺現駒込学園)
- 根津権現(根津神社)境内、標石は円乗寺(文京区白山1-34-6)
- 千駄木世尊院(文京区千駄木1-22-30)
- 養福寺(荒川区西日暮里3-3-8)
- 円通寺(文京区本駒込2-19-8)
- 東覚寺(北区田端2-7-3)
- 不忍弁天堂(台東区上野公園2-1)
- 金嶺寺(台東区谷中1-6-27)
- 観音寺(台東区谷中5-8-28)
- 三崎法住寺(法受寺)(谷中三崎より移転・足立区東伊興4-14-8)
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